どうも、法人1期目のハシケン(@conteanime)です。
当サイトの記事は2019年内まで個人事業主として活動していた時期に書いていたものも多くあるので、著者の肩書き等の違いについてはあらかじめご了承下さい。

とはいえきちんと確定申告をすることは節税にもつながるので、会社を独立して個人でやっていくにはないがしろにできない部分です。
ということで今回は、確定申告をする意味と流れやコツについて詳しくまとめていきます。
会社を独立して個人事業主になったら毎年3月に確定申告をしよう!
まずはじめに「所得税」は、納税者が自身の所得から税額を計算して申請し納税をする「申告納税制度」です。
サラリーマンなどの給与所得者は勤め先が源泉徴収と年末調整を行い代わりに納税をしてくれますが、個人事業主は毎年の確定申告で「事業所得」等を申告して所得税を納めていく形になります。
確定申告は事前に申請をしていれば「青色申告」、そうでなければ「白色申告」で行います。
青色申告は各種控除や経費の範囲が広がるなどの節税につながるメリットが多く受けられるので、個人事業主にとっては不可欠な申請だといえます。

個人事業主に必須の青色申告とは?白色申告との違いをおさえよう!
確定申告の申告条件 (給与所得者でない個人事業主の場合)
各種所得の合計額から所得控除を差し引いた金額に税率を乗じて、税額控除を差し引いたときに残額があると申告が必要になります。
一年間の所得が事業所得だけの場合は、
(事業収入-経費-青色申告特別控除額-各種所得控除額)×税率-税額控除
・・・が0以下でないなら確定申告をして納税する義務が生じるということです。
ただし個人事業主(青色申告)は純損失(赤字)を繰り越せるので、翌年以降に節税するために赤字でも必ず確定申告はしておきましょう。

納付期限 (所得税の確定申告)
3月15日を納付期限とし、約1ヶ月前からが申告期間となります(期日が土日と重なると順次繰り下げです)。
期限後の申告には無申告加算税が、納付期限後の納付には延滞税が加算されます。
住民税・個人事業税について
確定申告は所得税の申告納税のために行いますが、申告内容は税務署から各区市町村へ通達されて住民税・個人事業税の税額計算にも使われます。

還付とは?
事業内容によっては、取引先に源泉徴収されている入金もあると思います。
経費や控除の額によっては、課税所得額が減って支払っている税金が還付される場合もあります。

控除とは?
青色申告特別控除を除くと基本的に「控除」は事業に関係するものではありませんが、各個人の事情や環境に加味して課税所得額ないし納税額を減らすことができます。

個人事業主が確定申告をするまえにあらかじめ必要なこと(事前準備)
確定申告は納税のためのものなので、その事前準備とはすなわち節税対策だといってもいいでしょう。
所得税の節税を行う基本は前述の式を見てもわかる通り、「課税所得額をいかに減らすか」の1点です。

青色申告承認申請について
確定申告を青色申告でおこなって様々なメリットを受けるには、「青色申告承認申請書」の提出が必須となります。
申請期限は、開業後2ヵ月以内ないし青色申告の承認を受けようとする年の3月15日までです。
家族を事業専従者とする場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」もあわせて提出しておきましょう、届け出を出すだけで事業専従者家族の給与が全額経費として認められるようになります。
経費の分類
確定申告で課税所得をおさえるには、経費を適切に計上して証拠に基づいた所得額を算出する必要があります。
個人事業主は事業と生活の支出が曖昧になるケースも多く、全てが経費として計上できるわけではありません。

各種控除のための準備
各種控除にはそれぞれ要件があり、対象要件は事前の確認が欠かせません。

また納税額以上の控除はできないので、その年の所得額に応じて(控除の適用になる)支出を考えていくのも節税対策の一つです。
確定申告のために個人事業主やフリーランスが普段からしておくべきこと
確定申告に向けて日頃から大切なのは、正確な記帳と領収書類の保存をしっかり行うことです。
正確な申告を行うためにも、また経費や控除の適用を確実にするためにも書類・資料を残しておくことが重要です。

領収書類の管理保存
正確な経費計上をするためには、事業の領収書管理はしっかりやらなければなりません。
確定申告の際に提出義務はありませんが、領収書類は申告後7年間の保存義務があります(白色申告は5年)。
万が一何かの不手際から税務署の調査が入った際は、過去の帳簿と同様に領収書にもチェックが入ります。

経費の領収書同様に、医療費や保険料などの控除対象となる個人の支払い証明書もしっかり管理しておきましょう。
経費と違って各種物的控除は支出の証明が必要となります、関連書類は必ず保存しておきましょう。
記帳・書類の保存
領収書同様、各帳簿や決算書類・請求書等も申告後7年間の保存義務があります。
帳簿は、経費の使途・取引情報など事業収支の重要な証拠となるものです。毎年の決算ごとに出力してしっかり保存管理しておきましょう。

青色申告特別控除を満額受けるには、「青色申告決算書」の提出義務があるため複式簿記での記帳が必須となります。
複式簿記=主要簿(総勘定元帳・仕訳帳)・補助簿(現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳)
青色申告決算書=損益計算書・貸借対照表

会社独立後は経理初心者にもおすすめのクラウド会計ソフトを使おう!
個人事業主の確定申告に役立つおすすめクラウド会計ソフト2選
青色申告対応の「クラウド会計ソフト」を使えば、複式簿記での帳簿作成も容易になります。
補助簿を入力していけば「仕訳帳」と「総勘定元帳」から「損益計算書」と「貸借対照表」まで自動作成され、申告書や青色申告決算書への記入金額も自動計算してくれます。

MFクラウド

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・利用明細を自動で取得し、データからAIを使って勘定科目などを推測可能。
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あなた自身でこれからしっかり確定申告をしていくための流れ

2月になったら、前年12月末までの1年間の収支や経費を取りまとめて確定申告に向けて準備していきます。
とはいえ、日頃から会計ソフト等で会計業務をしっかり行っていれば特にあせることもないでしょう。
事業所得などの記載するデータはクラウド会計ソフトが基本自動集計してくれるので、作成ガイドに従っていけばわずかな入力で申告書や青色申告決算書の内容は仕上がります。
あとは必要な添付書類等を取り揃えておけばいいだけです。

確定申告に必要な資料・書類の準備
まず申告書を作成する前に、記入すべき数字の根拠となる資料や提出・添付するための書類を一通り用意しておきます。
申告に必要なのは、
1、収入・所得の証明となるもの
2、控除の証明となるもの
3、各個人情報がわかるもの
・・・です。
▼1、収入・所得の証明となるもの
事業の収支は、帳簿から損益計算書・貸借対照表を作成して正確な売上や所得を算出しておきましょう。
事業所得以外の所得があるときは、
・給与所得や公的年金などの収入の源泉徴収票
・配当所得・一時所得・雑所得の内容を証明する書類
・株の取り引きの年間取引計算書
・土地や建物の譲渡時の売買契約書、購入時点の契約書、仲介手数料や印紙代の領収書等
・・・なども各種揃えておきましょう。
▼2、控除の証明となるもの
所得控除や税額控除の対象となる支払いは、金額を証明する書類を添付するので取りまとめておきましょう。
・医療費の領収書・明細書等、交通費明細書
・各控除の証明書 (社会保険料・小規模企業共済掛金・生命保険料・地震保険料など)
・寄附金の受領証・法人や信託が適格である証明書又は認定証の写し
・住宅ローン控除関連の書類 (住民票の写し・売買契約書の写し・登記事項証明書の原本・金融機関の「残高証明書」等
医療費控除などでは、領収書を提出せずに支払いを集計をして明細書を作成し提出する必要もあります。
ただ明細書の提出後も各領収書の保存義務はあるので、しっかり保存管理しておきましょう。
▼3、各個人情報がわかるもの
記載項目・添付類には以下の個人情報を記入する箇所もあるので、事前に準備しておきましょう。
・マイナンバーカードまたはマイナンバーが記載された公的書類と本人確認ができるもののコピー(添付用)
・扶養の対象としたい親族の生年月日情報
・配偶者・扶養家族・事業専従者のマイナンバー
・還付金の受け取り場所とする口座番号
確定申告で欠かせない書類の作成
必要なデータ・資料・書類が揃ったら、申告書の作成をします。
申告書の作成は会計ソフトを使うほかにも税務署で書類を受け取り自ら計算・手書きで記入していく方法、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」でオンライン作成する方法があります。
▼青色申告に必要なもの
・確定申告書B
・添付書類台紙
・青色申告決算書(一般用) 4枚綴り
・確定申告書に添付する各種控除関係の証明書・明細書・計算書
・源泉徴収票(給与所得などがあった場合)
・マイナンバー書類のコピー
▼申告書の選択
・申告書A……主にサラリーマンや年金所得者である人
・申告書B……主に個人事業者や分離課税対象の所得がある人
▼Bと併用
分離課税用……申告分離課税の所得がある場合
申告分離課税の対象……山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等及び一定の先物取引による雑所得等
損失申告用……所得金額が赤字の場合・所得金額から雑損控除額や繰越損失額を控除すると赤字になる場合
▼「控え」に関して
提出する際には必ず「控え」に受領印を押してもらいましょう。
確定申告書そのものは提出すると返却されないので手元に残りませんが、控えは銀行から融資を受けるときや住宅ローンを組むときなどに必要となります。
また青色申告者は、翌年の確定申告書を作成する際に前年から引き継ぐ数字があります。
本人確認書類として、マイナンバーカードまたはマイナンバーが記載された公的書類と本人確認ができるもののコピーを貼付します。
申告書の各種控除に金額を記入したときは、明細書の提出や控除証明の書類の添付が必要になります。青色申告決算書や医療費控除に関する明細書は各自で帳簿や領収書から集計して算出し、書類内容を作成しましょう。
証明が必要な控除がある場合は、添付書類台紙にそれぞれ関係書類を貼付します。
▼申告書と一緒に提出
・青色申告決算書 ※1~3枚目:損益決算書とその内訳、4枚目:貸借対照表の4枚綴り
・医療費控除に関する明細書
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書 など
▼添付書類台紙に添付して提出
・マイナンバー書類のコピー
・源泉徴収票の原本
・各種控除のための証明書
・寄付金控除関係書類 など
提出・納税して確定申告は完了
申告書の作成が終わったら、申告期間内に提出・納税を済ませなければなりません。
提出するのは基本、申告書・青色申告決算書・添付書類台紙・各種控除に関する明細書になります。
▼①所轄税務署に持参する
開庁時間は、月曜日から金曜日(祝日等を除く)の8:30~17:00までです。開庁時間内の提出が困難なときは、設置してある時間外収受箱への投函もできます。
窓口で提出をする際は必ず「控え」に受領印をもらうのを忘れないようにしましょう。
▼②郵送
郵便又は信書便で所轄税務署に送付します。郵送の場合、期限日の通信日付印が押されていれば提出日に間に合ったことになります。
受領印を押した「控え」を郵送で返却してもらうには、住所を記載して切手を貼った返信用封筒を同封してください。
▼③e-Taxで申告
申告書の内容をデータ入力して、オンラインで送信する方法です。
ただし事前申請(ID・パスワードの取得)が必要だったり、マイナンバーカードやICカードリーダーが必須であったりとやや面倒なところもあります。
※詳しく知りたい時はこちら
▼納税・還付について
申告書の提出が済んだら同時に納税も済ませておきましょう、納付書は税務署又は所轄の税務署管内の金融機関に用意してあります。
納付書の「税務署」欄には、必ず申告書を提出した税務署名を記入してください。
▼所得税の納税方法
・現金による納付……納付書を添えて、金融機関又は所轄の税務署の窓口で納付します。
・コンビニで納付をしたいなら、税務署窓口でバーコード付き納付書の交付を受けてください。
・振替納税……「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出すれば、毎年預貯金口座からの振替により納付できます。
・電子納税……e-Taxで申告していれば、預貯金口座からのダイレクト納付や、ネットバンキングでの納付もできます。
▼還付
申告書に記入した金融機関の預貯金口座に振り込まれます。
還付金の手続きが終わると、支払金額・手続き開始年月が記載された「国税還付金振込通知書」が届きます。申告から振込みまではだいたい1ヶ月~1ヶ月半程度かかるようです。
申告書に記載漏れがあると「未処理」のままになってしまうこともあるため、申告してから2か月以上経っても通知書が来ないときは税務署に連絡して確認しましょう。
▼消費税
消費税の確定申告期限は3月末日となり、所轄税務署に消費税及び地方消費税の確定申告書を提出し納税します。
開業から2年間もしくは開業後2年以上経っても前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合には、免税となります。
▼住民税・個人事業税
確定申告をしていると都道府県が自動的に支払う税額を計算し、時期になると納付通知が送られてきます。
・住民税……毎年6月
・個人事業税……毎年8月と11月の年2回
まとめ
確定申告はめんどくさそうにも感じますが、普段からしっかり領収書を整理したりクラウド会計ソフトを使っていれば実際そこまでたいしたことでもありません。
不安な場合は、月一万ほどの顧問料で税理士に頼んでみるのもいいでしょう。
個人事業主が確定申告を税理士に頼むメリット・費用を実例解説!2021年最新版
とにかく、きちんと確定申告をすることは節税にもつながりメリットも大きなものです。

▼次はこちら!
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