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どうも、法人1期目のハシケン(@conteanime)です。
当サイトの記事は2019年内まで個人事業主として活動していた時期に書いていたものも多くあるので、著者の肩書き等の違いについてはあらかじめご了承下さい。
会社から独立開業してやっていこうとしたとき、社員の時とは関わりが大きく変わってくるのが「税金」です。

ということで今回は、個人事業主として知っておくべき税金のすべてをくわしくまとめていきます。
個人事業主が一年に支払う税金

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個人事業主として納める主な税金は、所得税・消費税・住民税・個人事業税の4種類で、国税と地方税に分けられます。
国税:所得税・消費税・・・確定申告をして税額を計算して自ら納税します
地方税:個人事業税・住民税(+固定資産税)・・・確定申告をしていれば自治体から納税額と納付方法の通知が郵送で届きます
個人事業主の所得税について
所得税は、課税所得をベースに算出される税金です。
会社員などの給与所得者だと所得の中心は「給与所得」となりますが、個人事業主は収入から経費を引いた「事業所得」より各種控除を引いて「課税所得」を算出します。
給与所得者(サラリーマン等)の課税所得 = 給与所得-給与所得控除額-各種所得控除額

事業所得=収入-経費
課税所得=事業所得-青色申告特別控除額-各種所得控除額
所得税額=課税所得×税率-税額控除
経費……事業を行うために使った費用(コスト)
青色申告特別控除……開業後2か月以内ないし適用を受けたい年の3月15日までに青色申告承認申請書の提出が必須
所得控除……基礎控除、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、社会保険料控除、医療費控除、雑損控除、寄付金控除など
税率……課税所得金額に応じて決まる累進課税方式
税額控除……配当控除、外国税額控除、寄附金特別控除、住宅借入金等特別控除など
サラリーマンのときにあった「給与所得控除」はなくなり、一律で適用される控除は「基礎控除」のみとなります。
流れとしては1年分(1~12月)の所得(利益)を翌年の確定申告で税務署に申告し、所得税を納めます。
支払期日は毎年3月15日までですが、支払い方法を「口座振替」にすれば4月20日頃が自動引き落とし日となるため支払期日を約1ヶ月先延ばしできます。

個人事業主の消費税について
消費税の納税義務は事業年度の売上が1,000万円以上となった場合に発生し、ほぼすべての取引に対して課税されます。売上に対して課税されるため、赤字でも黒字でも消費税は納めなければなりません。
ただし開業から2年間もしくは開業後2年以上たっても前々年の課税売上高が1,000万円以下なら免税となり、納税の必要がありません。

納付すべき消費税額の計算式 =(課税売上×税率)-(課税仕入れ×税率)
前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の場合は、簡易課税制度の適用を受けられます。
簡易課税制度とは実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる制度です。
課税売上高に対する税額の一定割合(みなし仕入率)を適用して、仕入控除税額を算出できます
※制度の適用を受けるには、「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。
ちなみに免税事業者であっても課税事業者であっても「記帳」は必要です、「税込経理方式」と「税抜経理方式」の2種類の仕訳方式があります。
・税込経理方式……税抜金額と消費税額を合わせた税込金額で仕訳に起こす方法
・税抜経理方式……消費税科目を別建て(仮受消費税等と仮払消費税等)で仕訳を起こす方法
免税事業者は納税義務がないので、消費税を気にせず「税込経理方式」で記帳すれば大丈夫です。
売り上げが1千万を超えて課税事業者になった時点でどちらかを選びますが「税込経理方式」は記帳自体の手間は少ない分、あとから消費税がかからないものを抜き出して再計算することになります。
逆に「税抜経理方式」は科目が増える分の記帳の手間は増えますが、別建てで計算していけるので納税総額が一目でわかります。
ちなみに免税事業者でも消費税分を受け取ることは問題ありません、納税義務がないのでそのまま手元に残ります。
消費税の納付時期は確定申告後の3月です、所得税と時期が近いので結構な重荷に感じる状況もあるでしょう。
個人事業主の住民税について
住民税は都道府県・市町村に納める地方税で、「市区町村民税」と「都道府県民税」の合算の税金です。
確定申告さえしていれば毎年6月に納付書が送られてくるので自主的な申告は不要です。納税方法は6月・8月・10月・1月の年4回払い、もしくは6月にまとめて一括が選べますが特に割引はありません。
住民税額の計算式 = 均等割 + 所得割
均等割(所得金額に関係なく定額で課税される)……各自治体によって定められた額
所得割(前年度の所得に応じて課税される)……(所得金額-各種所得控除額)×税率-税額控除額
所得控除や税額控除は所得税の際の控除と項目はほぼ同じですが、控除額には違いがあるので注意しましょう
個人事業主の個人事業税について
事業内容に応じて課税される税金で、地方税法で定められた以下のような「法定業種」が課税対象となります。法定業種は70種あり、さらに3種に分けられます。
第1種事業 (37業種 税率5%)……飲食店業、保険業、運送業、旅館業、製造業、印刷業など
第2種事業 ( 3業種 税率4%)……薪炭製造業、水産業、畜産業
第3種事業 (30業種 税率3~5%)……医業、弁護士業、理美容業、装蹄師業、デザイン業など
※非課税になる業種……70の業種に当てはまらない場合は非課税となります
住民税と同じく、確定申告をすると都道府県が自動的に支払うべき個人事業税を計算し納付通知が送られてきます。
納付は8月と11月の年2回で納付書を使って支払います、必ず2分割でまとめて払うことは出来ません。また事業所得が290万円以下の場合は支払う必要がありません。
個人事業税額の計算方法=(事業所得+[不動産所得]-事業専従者給与(控除)額-額繰越控除額-事業主控除額)×税率
事業所得……(収入-経費)
繰越控除……過去3年の損失(事業の所得が赤字)・被災事業用資産の損失・譲渡損失の控除
事業主控除…290万円 (営業期間が1年未満の場合は月割額)
税率…………3〜5%で、業種ごとに定められています
青色申告特別控除は所得税の控除制度であり、個人事業税の算出には適用できません
個人事業税は確定申告の際に「租税公課」に仕訳られます。「租税公課」は経費として計上できます。
個人事業主の予定納税(所得税)について
前年の「申告納税額」(1年間の所得税額)が15万円以上だった場合は、7月と11月に前年の「申告納税額」の3分の1をそれぞれ前払いで納税する必要があります。
予定納税は翌年の所得税の前払いですが期限内に納めないと延滞税が加算されてしまいます、そのぶん払い過ぎていたら還付加算金(利息)をつけて返してくれます。
「予定納税額の減額申請書」を税務署へ提出することで減額手続きもできます。(廃業、休業又は業況不振等の理由による)
個人事業主の固定資産税について
所有する土地家屋・所有する償却資産があれば、固定資産税を納税しなければならない場合もあります。
土地家屋の固定資産税 = 固定資産税評価額 × 税率
事務所の土地・家屋にかかる固定資産税は全額、自宅の一部を事務所として使っている場合も固定資産税の一部を経費として認められます。
償却資産とは事業のために使っている資産を指します、固定資産税が課税されるのは期末時点の償却資産の帳簿価額(購入価額から減価償却した分を差し引いた残りの部分)が合計で150万円以上の場合です。
償却資産の固定資産税 = 課税標準額 × 税率
課税標準額とは減価償却後の帳簿価額とほぼ同じで前年に購入した償却資産の場合は取得価額×(減価残存率×1/2)、前年より前に購入した償却資産の場合は前年の評価額×減価残存率で算出します。
減価残存率は各自治体ごとに決められています。
社会保険料:個人事業主として税金以外に支払う必要のあるもの

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退職日の翌日から14日以内に健康保険・国民年金の加入手続きをする必要があり、手続きは自治体の役所窓口でできます。
健康保険は基本的には国民健康保険への加入が義務となりますが、条件を満たせば会社員時代の健康保険組合の任意継続(2年間)・地域や牛種団体の保険組合に加入する選択肢もあります。
社会保険料(健康保険料・国民年金保険料など)は経費計上できませんが、「 事業主貸」で仕訳して社会保険料控除として所得から差し引けます。
国民健康保険について
個人事業主として独立すると、原則として国民健康保険への加入が必要になります。
国民健康保険は住民票のある市町村が運営していて市町村によって保険料や条件が異なります、保険料の納付は世帯単位で行われ郵送で納付書が送られてきます。
▼健康保険組合との違い(感じるデメリット)
・扶養の概念がない……同一世帯の被保険者の人数分だけ保険料がかかる
・「傷病手当金」がない……病気やケガで長期間(4日以上)働けなくなるときに給料のおよそ6割が支給される保障のこと
会社員時代の健康保険組合の任意継続について
継続したい場合は退職した次の日から20日以内に手続きします、任意継続期間は2年間で満了後は他の健康保険(国保など)に加入しなければなりません。

手続きには、任意継続被保険者資格取得申出書・扶養事実を確認できる書類が必要です。
▼任意継続のメリット
・保険料には上限があるため、国保と比べて保険料が安くなる場合がある
・扶養が適用される
▼任意継続のデメリット
・会社と折半で払っていた保険料を、全額自己負担で支払う必要がある。
・受付窓口が遠方になってしまうかもしれない
業種ごとに設けられている健康保険組合について
地域や業種で構成される健保組合や国保組合への加入も個人事業主の選択肢の一つです。建設連合国保、文芸美術国保、東京美容国保、税理士国保など・・・加入条件を満たせる場合は検討してみる価値は十分にあります。

ちなみに、個人事業主自体には労働保険(労災・失業手当)はありません。
労働保険は一般に「労災」といわれる労働者災害補償保険と雇用保険の総称です。ただ個人事業主は雇用労働者ではないため、労災・失業手当の給付対象になれません。そのぶん会社員時代にあった雇用保険料の支払い義務もありません。
ただし(一定条件以上で)従業員を1人でも雇っていれば労働保険に加入し保険料を納付する義務が生じるので、気をつけましょう。
年金保険について
退職して個人事業主になると、厚生年金から国民年金への切り替えが必要になります。
加入後は社会保険事務所から納付書が送られてくるのでそれに従い納めていきます、保険料は被保険者一律で金額は毎年度改定されます。

厚生年金は会社と折半ですが国民年金保険料は当然全額自己負担です。2年分までまとめて前納することができて、割引も適用されます。※ まとめるほど割引額も多くなります。
厚生年金に比べ納付額と受給額の少ない国民年金ですが、定額保険料に付加保険料を上乗せすることで受給する年金額を増やす制度も色々と用意されています。
▼国民年金基金
終身年金と任意に加入する2口目の年金(終身年金または有期年金)からなる基礎年金の上乗せ年金。
基金の掛金は、選択する給付の型と口数、加入時の年齢および性別に応じて決まる。(掛金の上限は月額6万8000円)
▼付加年金
付加保険料(一律400円)を上乗せして納め、 将来的に受給する年金額を増やすことができる年金
※国民年金基金と付加年金の併用(二重加入)はできません。
▼個人型確定拠出年金 (iDeCo)
60歳までの間に毎月一定の金額(掛け金)を出しその掛け金で金融商品を選んで運用、60歳以降に運用した資産を受け取る私的年金。
※掛金を月5,000〜68,000円の範囲で1,000円単位で自由に設定できます、付加保険料を支払っているor国民年金基金に加入している場合は合算して月68,000円が限度となります。
参考
金融庁が年金給付水準の維持は困難と明言 国民に「自助」呼びかけlivedoorNEWS

独立したからには、自分自身の手で老後の余剰資金を作っていくことが今後の開業のサブテーマになっていく側面もありそうです
個人事業主が節税のためにできること・有効なもの

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個人事業主として「節税」を考えるときに大事なのは「経費」と「控除」です。
経費と控除額が増えれば課税所得額が減り、結果として所得税・住民税・個人事業税を減らすことができます。
経費として計上できる項目を広げて控除をより多く受けるために必須なのが「青色申告」です、青色申告での確定申告は個人事業主の節税にとって最優先事項といえるでしょう。
個人事業主が確定申告を税理士に頼むメリット・費用を実例解説!2021年最新版
青色申告
青色申告申請をすると、経費・控除面で多くのメリットを受けられます。
・青色申告特別控除……65万円の所得控除 (貸借対照表・損益計算書の提出が必要。ないと10万円の控除)
・青色専従者給与……全額経費に計上できる・所得分散になる
・貸倒引当金……売掛金の5.5%を経費にできる
・純損失の繰越……過去3年間の赤字を繰越できる
・家事関連費の必要経費算入……家事上の経費に関し、業務に必要であるとされる部分を対象のやり取りについて記録を明確にし必要経費として計上できる
・減価償却の特例……取得価格が30万円未満の固定資産を減価償却資産として計上し、取得した年に一括で経費に計上できる
個人事業主に必須の青色申告とは?白色申告との違いをおさえよう!
帳簿をしっかりつけて所得を下げる①・・・複式簿記

青色申告で65万円満額控除をうけるには主要簿と呼ばれる「総勘定元帳(略して元帳)」「仕訳帳」という帳簿を作る必要があります。
ほかに帳簿には補助簿と呼ばれる「現金出納帳」「預金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」があります。
さらに、青色申告で確定申告する際には「損益計算書」と「貸借対照表」の提出が必要となります。
▼作成の流れ
1、「仕訳帳」に記入し「仕訳帳」の結果を「総勘定元帳」に転記、必要に応じて補助簿をつける
2、年末に「総勘定元帳」の記録をもとに、青色申告決算書として「損益計算書」と「貸借対照表」を作成する
月々の支払いや売り上げ・経費などを適切に入力さえしていけば「仕訳帳」と「総勘定元帳」から「損益計算書」と「貸借対照表」まで自動作成してくれるので、会計初心者は青色申告対応の会計ソフトを必ず利用しましょう。
▼お金の管理で不安なら、月1万から頼める税理士さんを探すのも手です。
個人事業主が税理士に相談すべきタイミング・費用相場・メリットを実例紹介!
帳簿をしっかりつけて所得を下げる②・・・経費帳
経費にできる支払いをきちんと申告するには補助簿の一つ「経費帳」を作成する必要があります、経費の勘定科目を把握して取りこぼしがないようにしっかり記帳して節税につなげましょう。
▼一般的な経費の勘定科目
・水道光熱費・旅費交通費・通信費・消耗品費・接待交際費
・広告宣伝費・修繕費・地代家賃・租税公課・従業者給与・雑費など
ただし経費と認められるのは、事業と関係があるものだけです。
経費計上には領収書は必須です。確定申告時に提出する必要はありませんが、万が一税務調査が入った時などにきちんと説明ができるように保管しておかなければなりません。
各帳簿や決算書類は7年間、領収書などは5年間保存しておく必要があるので会計ソフトを使う場合は帳簿と決算書類はプリントアウトして保存しておきましょう。事業に関係した銀行通帳や決算関係の書類なども7年間保管しておきましょう。

共済・年金による節税
共済や年金は、その本来の目的とは別に節税対策としても効果的です。
たとえば社会保険料(健康保険・国民年金等)は社会保険料控除として所得控除になりますし、小規模企業共済は全額が小規模企業共済等掛金控除対象となって中小企業倒産防止共済掛金なら経費として計上できます。
小規模企業共済……小規模企業の個人事業主の方や事業を廃止した場合などに、その後の生活の安定や事業の再建などのための資金をあらかじめ準備しておくための共済制度
中小企業倒産防止共済掛金(経営セーフティ共済)……取引先企業の倒産の影響による中小企業の連鎖倒産を防止するための共済制度
ちなみに個人型確定拠出年金 (iDeCo)は、
・掛け金が全額「小規模企業共済等掛金控除」対象になる
・運用中に得た利益に税金はかからない
・運用資産を受け取る時も、「退職所得控除」「公的年金等控除」
・・・など、投資・積立の目的とは別に現時点での節税メリットも十分あります。
法人成り

法人成りには様々なメリットデメリットがありますが、ここでは節税にしぼって紹介します。
▼法人化の節税メリット
・役員報酬を支払い、給与所得控除額の分だけ全体の課税所得を減額できる
・従業員への退職金が損金として認められる
・欠損金の繰越控除可能期間が長くなる (3年→9年)
・消費税の課税事業者になるタイミングを2年先延ばしに出来る
・利益が一定額を超えると、所得税率より法人税率の方が税負担が少なくなる
・費用(経費・損金)計上が可能な範囲が広がる
・確定申告で控除できる費用が増える
個人事業主の税金のまとめ

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個人事業主の一歩先は不透明なものです。そのため、税金や保険なども多少早いタイミングで大きいと感じる額があらかじめ抑えられてしまう要素があるのかもしれません・・・。
多少いい売り上げがあったからと調子に乗って使ってしまうと、あとから税金額がわかって詰む・・・なんて状況もありえます。

個人事業主が税理士に相談すべきタイミング・費用相場・メリットを実例紹介!
個人事業主が確定申告を税理士に頼むメリット・費用を実例解説!2021年最新版