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どうも、法人1期目のハシケン(@conteanime)です。
当サイトの記事は2019年内まで個人事業主として活動していた時期に書いていたものも多くあるので、著者の肩書き等の違いについてはあらかじめご了承下さい。
会社を独立した人にとっては大きな目標ともいうべき会社設立、通称「法人成り」。

それがいわゆる「個人成り」です、今回は個人成りの定義やメリットデメリット・手順までを詳しく解説します。
個人成りとは?
「個人成り」とは、法人でおこなっていた事業を個人でひきとり、個人事業主として事業をおこなうことです。
- 法人の事業活動を停止し、解散もしくは休業する
- 解散の場合、法人を清算し清算結了を登記する
- 個人事業主として開業する
・・・というのが「個人成り」の基本的な流れになり、法人の事業を停止する方法は以下の2通りになります。
▼会社を廃業(解散・清算)する
事業を解散・清算する際には、解散の日から2週間以内に法務局で「解散の登記」と「清算人の選任の登記」を行います。
これらの登記には登録免許税などの登記費用(計4万1,000円~ )がかかり、税務署と都道府県・市区町村に「異動届出書」等を提出します。
▼会社を休業(休眠)する
事業を一時的に停止し再開する可能性をのこす場合は、「異動届出書」に休業する旨を記載し税務署や都道府県・市区町村に提出します。
休業の際は法務局への登記の必要はなく当然登記費用もかかりませんが、法人住民税均等割の納付・税務申告義務等がのこります。

個人事業主やフリーランスが個人成りを考える理由・タイミングとは?
個人事業主が「法人化」する主なメリットには「節税効果」・「対外的な信用度アップ」などありますが、メリットよりもデメリットの方が大きくなってしまえば無理に法人を続けていく意味はあまりないでしょう。
そこで検討すべき道が「個人成り」です、個人成りを考える理由・タイミングには以下のようなものがあります。
▼法人としての節税効果がなくなった
事業規模が縮小し売上が減った等の理由で所得・課税売上額が一定金額を下まわると、法人税の一定税率や給与所得控除の恩恵が少なくなります。
納税以外にかかるコストもふくめて考え、個人事業主として所得税を納めたほうが可処分所得が増える場合は個人成りを検討すべきでしょう。
▼法人である必要がなくなった
取引先との契約や資格・許認可の取得条件などの対外的な理由でやむをえず法人化していた場合、事業内容の変化等によりその必要性がなくなったときには法人である理由そのものがなくなることもあるでしょう。
▼社会保険料の負担が大きい
法人では社会保険(厚生年金と健康保険)の加入が義務となり、自身や従業員の報酬が大きいと会社の保険料の負担も大きくなります。
保険料は納付期限が定められていて、間に合わなければ延滞利息・滞納すれば差し押さえの対象にもなります。
個人事業主の場合、原則従業員が4人以下であれば社会保険の加入義務はないため事業者側の負担は減らせます。
個人の国民健康保険・国民年金の加入義務はありますが、納付金額に上限があるため保険料の負担は法人より軽くなるケースが多いです。
▼消費税の負担が大きい
個人成りをしてあらためて開業し消費税免税措置を利用すれば「免税事業者」となり、消費税の負担を一定期間なくせます。
ただし、消費税負担からのがれるためだけに「法人成り」「個人成り」を繰り返すのは不当行為とみなされるのでやめましょう。
法人から個人事業主に戻るメリットデメリット
個人成りをする際は、法人成りをした時と同様に今一度双方のメリットデメリットをふまえて総合的に判断する必要があります。

個人成りのメリット
個人成りのメリットとは、いいかえれば「法人のデメリットを解消する」ということです。
個人成りにより税務の手間・維持コスト・保険料負担等が軽減され、資金のあつかいの自由度が増します。またあらためて開業しなおすことで消費税の免税措置をうけることもできます(事業規模にもよる)。
・決算処理・確定申告の手間や税理士コストが軽減する
・社会保険料の事業者負担が軽減する
・赤字の際にも納付義務がある法人住民税の均等割の負担がなくなる(廃業した場合)
・消費税の免税事業者制度の利用(2年間)ができる
・事業用の資金を自由に出し入れできる
・経費計上できる接待交際費に上限額がなくなる
個人成りのデメリット
上記メリットと同様に考えると、個人成りのデメリットとは「法人のメリットを失う」ことだといえるでしょう。
所得の分散による節税効果や給与所得控除等がなくなるので、利益が想定以上に出たケースでは逆効果となります。
廃業自体にコストがかかる点、法人の欠損金を個人事業には引き継げない点もデメリットといえるでしょう。また取引先・顧客などには個人成りの理由を勘ぐられることで不安な印象をあたえてしまうおそれもあります。
・会社の解散、清算に費用がかかる
・取引相手の信用度、取引可能条件が変わる場合がある
・法人が条件である資格、許認可ををうしなう
・自身の給与(役員報酬)や退職金がなくなる(経費に計上できなくなる)
・社宅・出張費等の経費計上ができなくなる
・利益がでるほど所得税などの徴収額があがっていく
・法人の赤字(欠損金)は引き継げない
・法人で負担する社会保険料より国民年金・健康保険料の方が高くなるケースもある。(法人での役員報酬が少なかった場合)
・事業年度の区切りが(1/1~12/31)に限定される
・債務に対する責任が無限責任になる
・スムーズな事業継承ができなくなる
法人をやめて個人に戻るための流れ

「解散」は手続きに登記等の手間と費用がかかりますが、会社を完全に消滅できればそれ以降の負担はありません。
「休業」は手間・費用はほとんどありませんが、法人自体は存続するため法人住民税均等割の納付と毎年の税務申告はしなければいけません。
ただし休業は登記の必要もないので、いつでも復活が可能になります。

法人の解散・清算
会社を解散するには株主総会での承認が必要になり、同時に残務処理を行う「清算人」の選任も行います。
株主総会の決議により解散が決まったら、法務局に株式会社解散及び清算人選任の登記を申請します。
1、法人の資産を個人へ名義変更・売却
個人成りをするなら、会社から個人へすべての事業用資産を売却する必要があります。
固定資産を通常の時価で会社から個人へと売却し、代金相当額を会社に支払わなければなりません。
清算中の会社では営業活動ができないため、解散した時点で事業にかかわるすべてを個人へ移転させておくようにしましょう。
2、解散の登記
解散が決議されたら「解散及び清算人選任の登記」を申請します、清算人は通常「代表取締役」が就任します。
これにより会社は清算中の会社となり、「解散会社」として登記されます。
参考【解散登記の費用】
・登録免許税……39,000円
・登記事項証明書代……480~600円
3、清算人による清算手続き
解散登記が行われたら、清算人はすみやかに財産目録・貸借対照表を作成し株主総会の承認を得なければなりません。
清算人は債権者にたいし一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、わかっている債権者には個別に催告を行います。
公告期間が経過し「残余財産」を確定させたら、残余財産を株主に分配するなどの清算手続きを行います。
・官報公告費用……1行 3,589円~
4、清算結了の登記
清算事務が終わると、清算人は決算報告書を作成し株主総会の承認を受けます。
清算結了は株主総会の承認後2週間以内に登記申請し、「清算結了の登記」が完了すれば会社は完全に消滅します。
参考【清算結了の登記の費用】
・登録免許税……2,000円
・登記事項証明書代……480~600円
株主に分配します。なお残余財産が資本金を上回るときは法人税・法人住民税が課税されます。
税金その他の租税公課については税務署などの役所に、借入金については金融機関に相談します。
会社を消滅させるからといって帳消しにはなりません。納付・返済が不可能なときは法的手続(破産・民事再生等)へと移行することになります。
5、税務署に提出
清算結了の登記が済んだら、以下の書類を所轄の税務署等に提出して廃業手続き終了となります。
①異動届出書を提出 (税務署・都道府県税事務所・市区町村役所
②給与支払事務所の廃止届出書
③消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書 (免税事業者となるとき)
法人の休業(休眠)
会社を「休業」させれば、コストをかけてまで会社を廃業せずに法人登記を残したまま個人成りすることができます。

1、法人の資産を個人へ名義変更・売却
取引先へ休業を通知し、会社名義の事業用資産や契約の名義が個人にきりかえます。
会社名義のまま個人事業での引き継ぎはできません、名義変更ができない資産・契約は解約・売却しておきましょう。
事業に必須の資産・契約が会社名義のままで引き続き個人事業者として使用していると、会社は休業とは認められません。
2、休眠の手続き
支払いや振込み等の口座変動があったり看板を掲げたままだど休業とはみなされません。
休業届けを提出しても滞納している税金の納税義務は消えず、滞納があるかぎり休業はできません。
以下の書類を所轄の税務署等に提出して休業手続き終了となります。
①異動届出書(休業する旨を記載し)を提出 (税務署・都道府県税事務所・市区町村役所
②給与支払事務所の廃止届出書
③消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書 (免税事業者となるとき)

3、休眠中の手続
休業の場合、法人は存続したままなので以下の手続きは引き続き行わなければいけません。
・税務申告……申告をしないと青色申告が取り消されます。
・任期満了による役員変更登記……最後の登記から10年間登記がない場合は解散したとみなされて しまいます。(みなし解散)
・法人住民税の均等割……毎年納付義務があります。(納付額¥70,000円)
個人成り・開業の手続き

「個人成り」といっても特にかわりはなく、サラリーマンが個人事業主として独立開業する際と基本はいっしょです。社会保険に加入して、税務署に開業届等の必要書類を提出し「個人事業主」となりましょう。
社会保険の加入……国民健康保険・国民年金
開業手続き……所轄税務署へ
・開業届出・廃業届出等手続
・所得税の青色申告承認申請書
・青色事業専従者給与に関する届出書等
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

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まとめ
個人成りはたしかにマイナスのイメージもないではないですが、本人からしてみれば事業の形態が変わるだけとも言えます。
メリットのない法人を延々続けることに意味はありませんし、デメリットだらけの状態で個人事業主として居続けることも大きな損失でしょう。

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