どうも、法人1期目のハシケン(@conteanime)です。
当サイトの記事は2019年内まで個人事業主として活動していた時期に書いていたものも多くあるので、著者の肩書き等の違いについてはあらかじめご了承下さい。
会社を独立して個人事業主やフリーランスになると、「経費」という存在が非常に重要になってきます。
・・・とはいえこの経費、会社員だった頃にはあまり関わる部分でもなかったのでいまいちよくわからないということも多いんじゃないでしょうか?

今回はちょっとややこしい「経費」に関して、定義やメリットなど詳しく解説します。
h2個人事業主やフリーランスに必須の「経費」とはなにか?

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はじめに:会社員が使う一般的な意味の「経費」とは?
元々は「経営費用」の略語です。

交際費・交通費・消耗品の出費に対し使われることが多いでしょう。会社は払った経費を取りまとめ計上し、法人税額の算出をします。
通常、会社員(給与所得者)が個人で経費を計上し納税申告することはほとんどありません。給与所得者個人にかかる経費分は、給与所得控除として一定額があらかじめ控除されています。
特定支出控除……特定支出の合計額が適用判定の基準金額を超えそれが証明できるとき、給与所得控除の2分の1を超えた部分を特定支出控除として申請できる制度も実はあります
個人事業主にとっての「経費」とは?
会社(=法人)が経費を計上して法人税を算出するように、個人事業主も経費を計上し所得税の課税所得を算出します。会社員のときの「経費」とは少し違い、あなたは事業者としての「経費」という概念を考えていかないといけません。
いわゆる個人事業主の「経費」は、事業所得を算出するために事業収入から差し引ける「事業にかかった費用」を指す会計用語です。

個人事業主が経費を計上する意味とメリットについて

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家賃、電気代、ネット代金、交通費、名刺やパンフレットの印刷代金、事務用品、郵便代金、ビジネス本、ガソリン代、仕事関係の飲食、ビジネス用口座の手数料、クレジットカードの年会費、固定資産税・・・挙げていくとキリがありません。
これらを経費として計上できず収入額自体に税金がかけられてしまうと税額が利益を超えてしまう事態がありえます、なので日本の所得税は「収入-経費(-各種控除) =所得」 として、所得に課税される方式になっています。
経費のメリット1:課税所得を減らせる
経費は納税システムの一端を担うと同時に、個人事業主にとっては計上できる経費を増やすことで課税所得を減らし節税につなげられる側面もあります。

経費のメリット2:資産を残せる
経費を使う目的は事業に役立てることです、使えば手持ちの現金は減りますがその分の資産があなたの手元に残ることになります。
ただし節税になるからとむやみに経費を支出するのはあまりよくありません、必要な費用で経費として計上できるかどうか精査し資産として意味のあるものを経費でまかなうことが大切です。
個人事業主の経費の扱いに関する注意点

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個人事業主のプライベートな支出に関しては基本的に経費として認められません、経費になるのは直接ないし間接的にビジネスの収益に関係する費用だけです。

経費ではなく「控除」になるもの
・医療費控除……病院などでの医療費の一定以上支払い
・社会保険料控除……社会保険料(国民健康保険や国民年金)
・小規模企業共済等掛金控除……指定された共済や個人型年金などの支払い
・生命保険料控除……生命保険料(最高12万円)
・地震保険料控除……地震保険料(最高5万円)
・寄付金控除……寄付・ふるさと納税
参考)控除とは?
「控除」とは、差し引きすることを意味します。具体的に税金の場合に当てはめると、納めるべき税金の金額を計算する過程で、控除すべき金額をマイナスすることです。したがって、何らかの「控除」が適用される場合には、その分だけ納める税金が少なくなり、納税者にとっては有利となります。
※kuguruより引用
経費にできないもの
・自分自身のための、事業に特に関係ない支払い
・生計を一にする家族・親族への支払い (青色事業専従者給与を除く)
・金融機関からの借入金の元金・住宅ローンの元本
「資産」として計上すべきもの
・取得価額が10万円以上の備品……固定資産に仕分けし、耐用年数に応じて分割して「減価償却費」として経費計上
・敷金・礼金・保証金……敷金・保証金は資産として処理し「差入保証金」として仕訳、礼金は20万円以上の場合は資産として処理し賃借する期間または5年間で減価償却
参考)減価償却とは?
建物や自動車、機械など、ある程度高価な物は、事務用品などと違い、使ったからといってすぐに価値がゼロになるわけではありません。そこで、その価値は年月とともに下がっていくものと考え、毎年減った分の価値を計上して償却します。これを「減価償却」といいます。つまり、減価償却費とは、この減価償却によって発生する経費のことです。
※freeeより引用
個人事業主はビジネス関連の領収書を必ず集めよう!

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経費の証明として主に必要になるのが「レシート」「領収書」「出金伝票」の3つです。
領収書類には青色申告後7年間の保管義務があります(白色申告は5年)、確定申告の際に提出義務はありませんがその後の税務調査に備えしっかり保存管理しておきましょう。
個人事業主に必須の青色申告とは?白色申告との違いをおさえよう!
領収書の宛名には、個人名・屋号・上様・無記名などいくつかの記入方法があります。実は、
・記載金額が3万円未満
・小売業、飲食店業、写真業および旅行業などの特定の業種
・・・という場合には、宛名なし、無記名・空欄でもかまわないことになっています。

但し書きも「お品代」などではなくできるだけ正確な記載をお願いしましょう。
個人事業主の経費はいくらまで・種類や項目はどこまで認められる?

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基本的に個人事業主の経費の計上額に上限はありません、ただし売上以上の額や頻度や単価が現実的でない経費は私用の疑いが強くなります。
備品等の所得価額によっては固定資産として仕訳し、耐用年数と償却率に応じて経費計上する必要があります。
▼すべての人が対象
・10万円未満………………消耗品費として経費計上
▼青色申告者の場合
・10万円~20万円未満……減価償却資産か一括償却資産を選択
・20万円~30万円未満……減価償却資産か少額減価償却資産の特例を選択
・30万円以上………………減価償却資産
按分計算・家事按分とは?
按分(あんぶん)とは、比率を算出しその比率に応じて金額や分量をそれぞれ割り振ることです。

按分する際は、費用割合を合理的に説明できるようにしておくと安心です。
・分けられるものはしっかり分ける
・数字的に根拠を作れるものは明確にしておく
・全額を経費計上しない
経費にできるもの・しやすいもの

迷ったときは各所窓口や税理士に相談して正しい知識を身につけていきましょう、勝手な判断で適当に計上処理してしまうとあとあとトラブルにもなりかねません。
個人事業主が確定申告を税理士に頼むメリット・費用を実例解説!2021年最新版
経費として計上できる費用を勘定科目ごとにカンタンに見ておきましょう。
勘定科目とは事業で発生する収益と費用を記録するために必要な分類項目の名称で、勘定科目を使って仕訳作業をし記帳を行います。
▼経費の勘定科目(例)
仕入れ……商品や原材料の代金
修繕費……資産や器具、機械装置、建物に関する維持管理費
荷造運賃……荷造運送費、荷造発送費、梱包費
消耗品費……価額が10万円未満・耐用年数が1年未満の備品
法定福利費……従業員の健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料、労災保険料、雇用保険料などの会社側負担分
従業員給料賃金……従業員への給与、賞与などの報酬
外注工賃……外部でデザインしてもらった名刺や封筒、ロゴ
新聞図書費……事業資料として購入した雑誌・書籍類
支払手数料……販売手数料、仲介手数料、代引き手数料、振込手数料
減価償却費……取得価額が10万円以上で固定資産になる備品を耐用年数に応じて分割して計上
旅費交通費……電車・バス・タクシー代
未償却繰延資産……未償却の開業費・創立費・社債発行費
接待交際費……事業に関する交際費、会議費
広告宣伝費……ドメイン料、サーバーのレンタル料、名刺
諸会費……義務が発生する団体へ支払う会費
雑費……上記に当てはまらない事業に関する費用
▼按分計算が必要な勘定項目(例)
租税公課……個人事業税、固定資産税、自動車税
地代家賃……事業所や店舗、駐車場に関して支払った賃料や使用料
水道光熱費……水道料、電気代、ガス代
保険料……損害保険料や地震保険料、自動車保険料
通信費……固定電話代、携帯電話料金、プロバイダ料、切手代
経費にできないもの

▼条件付き
寄附金……原則として経費にはできません (条件により控除の対象にはなります)
修繕積立金……原則として経費にはできませんが、一定の要件を満たせば可能な場合も
▼経費にはできない
所得税・住民税……事業と直接の関係がないので経費にはなりません
延滞税・無申告加税……同上
罰金・反則金……同上
福利厚生費……従業員を雇用を前提で計上できる経費なので、事業主自身や専従者は対象外です
健康診断費……福利厚生費と同じ扱いになります
個人事業主自身の給与……個人事業主には給与の概念がありません。「事業主貸」として仕訳します
社会保険料……年金、健康保険、生命保険料、医療費 (各種控除の対象にはなります)

個人事業主が税理士に相談すべきタイミング・費用相場・メリットを実例紹介!
まとめ:経費を正しくうまく使えば節税できるの?

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節税の最終的な目的は、可処分所得(手残り)の金額を増やすことです。

▼効果的な節税につなげるポイント
・すでに支払っている固定費用や必須の支出で、経費と認められるものをもれなく計上する
・資産の減価償却費は取得価額によって経費に出来る額や方法が選べる
・経費に計上できなくても、控除が受けられる費用もあるので確認する
