個人事業主なら控除を知り尽くせ!確定申告から税金関連まで総ざらい

個人事業主 控除とは 節税 経費

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どうも、法人1期目のハシケン(@conteanime)です。

 

MEMO

当サイトの記事は2019年内まで個人事業主として活動していた時期に書いていたものも多くあるので、著者の肩書き等の違いについてはあらかじめご了承下さい。

 

会社を独立して個人としてやっていく時に欠かせないのが、「控除」という存在とその付き合い方でしょう。

 

ハシケン
・・・とはいえ、なんとなーく大事なことだはわかっていてもなかなか実態がよくわからなかったりしませんか?;

 

ということでこの記事では、独立開業に必須の「控除」について詳しくまとめます。

 

「控除」という言葉の意味と概念

控除 意味 言葉 説明

 

ハシケン
個人事業主と「税金の控除」はどのように関わってくるのでしょう?

 

本来税金の控除は事業の損益とはほぼ関連がなく、一見無関係のように思われます(そもそも事業に関係する支出の多くは基本「経費」として扱います)。

 

ただし、個人事業主は事業と自身のふところは一体も同然です。

 

自身で確定申告をし納税しなければならない個人事業主にとって、「控除」をきちんと知ることは大きな節税対策となります。

 

ハシケン
まずは控除とは何かを理解し、どう節税に生かせるのか知っていきましょう!

 

「税金の控除」とは?

 

控除とは各納税者の個人的事情に配慮して公平に税負担を課そうという考えによるもので、簡単にいうと対象となる支出があるとその分課税額が下がる仕組みです。

 

主に「人的控除」「物的控除」に分けられ、その年々の状況や事情が加味され控除が適用されます。

 

・人的控除……納税者本人と扶養家族の状況に応じて控除される

・物的控除……その年に支払ったお金の内容に応じて控除される

 

控除は主に所得税や住民税のような「所得」をベースに算出される税金に適用され、事業の経費として認められない個人の支出に対し経費と同じような扱いで課税所得を減額する役割をはたします。

 

控除の仕組みをおさえよう

 

控除されるタイミングは2通りあり、「所得控除」「税額控除」に分類されます。

 

・所得控除額……課税所得金額を算出するまえに、条件を満たす時に所得から課税対象として控除される金額

・税額控除額……課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、条件を満たと控除される一定の金額

 

所得控除は控除額がそのまま減税(ないし還付)されるわけではなく課税対象となる所得が減額されるもので、所得控除額=減税額とはなりません。扱いは経費とほぼ同じと思っていいでしょう。

 

逆に税額控除は実質減税となるタイミングでの控除ですが、税額がマイナスになるような控除はできずマイナス分の還付はありません。あくまで納税額の範囲内での減額となります。

 

個人事業主に関連する控除の一覧

個人事業主 控除 関連

 

個人事業主は事業内容に関わらず、確定申告上の扱いは「個人」です。ですので受けられる所得控除・税額控除は会社員等の個人とほぼ変わりはありません。

 

違いは各種控除の計算と申告を自身で行わなければいけない点と、所得控除に含まれない個人事業主のみに適用される控除をふまえて所得申告をするという2点です。

 

ハシケン
では申告できる控除にはどんな対象があるのか見ていきましょう!

 

所得控除

 

所得控除は主に生活に密着した事情・環境に配慮した対象が要件となります。あてはまる控除をしっかり押さえて申告することで、課税所得を減らし節税につなげられます。

 

▼個人事業主として見逃せないポイント

・社会保険料、小規模企業共済等掛金が控除対象である

・事業専従者は、「扶養控除」や「配偶者控除」の対象になれない

・「青色申告特別控除」や「事業専従者控除(白色申告者)」といった個人事業主特有の控除がある

・会社員・パート勤務の給料に適用される「給与所得控除」がない

 

1、物的控除①~⑦

 

①雑損控除……損失した資産の応じて計算

災害・盗難・横領によって、生活に通常必要な資産が損害を受けた場合の控除。

上記条件に当てはまらない詐欺や恐喝の被害は、「雑損控除」の対象にはなりません。

また、別荘や貴金属・美術品等の生活に支障のない損害も対象外です。

 

②医療費控除……下記(上限200万円)

その年に支払った医療費が一定額を超える場合の控除。

Ⅰ実際に支払った医療費の合計額-(保険金等で補填される金額)-(10万円)

Ⅱ実際に支払った医療費の合計額-(保険金等で補填される金額)-(所得金額×5%)の少ない方

 

③社会保険料控除……全額

1年間に支払った社会保険料(国民年金・国民健康保険・国民年金基金の掛金等)分の控除。

※個人年金保険料は、「社会保険料控除」ではなく「生命保険料控除」に含まれます。

 

④小規模企業共済等掛金控除……全額

小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金を支払った場合の控除。

個人型確定拠出年金(iDeCo)・心身障害者扶養共済制度などの掛金もこの項目に含まれます。

 

⑤生命保険料控除……(所得税:上限12万円・住民税:7万円)

生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合の控除。

生命保険契約を締結した時期によって、「生命保険料控除」の取扱いが異なるため注意が必要です。

 

⑥地震保険料控除……(所得税:上限5万円・住民税:2.5万円)

地震や津波に備えた特定の損害保険契約等に保険料を支払った場合の控除。

 

⑦寄附金控除……寄付金合計額-2000円(所得税:総所得金額等の40%まで・住民税:30%まで)

国や地方公共団体・特定公益増進法人に対して特定寄附金を支出した場合の控除。

「ふるさと納税」は法律上は「寄附金」として取り扱われます。

指定の団体への寄付が条件で、どんな団体に寄付しても認められるわけではありません。

政党等寄附金・認定NPO法人等寄付金・公益社団法人等寄附金は、「税額控除」での選択もできます。

 

 

2、人的控除⑧~⑭

 

⑧寡婦控除・寡夫控除……所得税:原則27万円、特別寡婦は35万円・住民税:原則26万円、特別寡婦は30万円

寡婦は、配偶者と離婚・死別して再婚していない、扶養親族又は生計を一にする子供(総所得金額が38万円以下)がいる人か、

配偶者と死別して再婚していない、合計所得金額が500万円以下の人が受けられる控除。

子供と生計を一にしていて合計所得金額が500万円以下の人は、特別寡婦になります。

寡夫は、配偶者と離婚・死別して再婚していない、合計所得金額が年500万円以下の人が受けられる控除で、

生計を一にする子供(総所得金額等が38万円以下)がいることが条件です。

 

⑨勤労学生控除……所得税:27万円・住民税:26万円

勤労に基づく所得がある勤労学生が受けられる控除。

合計所得金額が65万円以下で、かつ勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下が条件となり、

特定の学校(学校教育法に規定する学校、職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人など)の学生、生徒が当てはまります。

※勤労に基づく所得以外の所得とは、給与所得、事業所得、雑所得、退職所得以外の所得を指します。

 

⑩障害者控除……27万円、特別障害者は40万円、同居特別障害者は75万円

本人または同一生計配偶者や扶養親族が、所得税法上の障害者にあてはまる場合の控除。

障害者控除の扶養親族には年齢制限がなく、16歳未満の扶養親族にも適用されます。

 

⑪配偶者控除……所得税:38万円・住民税:33万円、老人控除対象配偶者は所得税:48万円・住民税:38万円

納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、同一生計配偶者が合計所得金額が38万円以下の場合の控除。

老人控除対象配偶者は70歳以上です。

事業専従者は控除対象となることができません。

 

⑫配偶者特別控除……所得税:上限38万円・住民税:33万円

38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられない場合でも、38万円超123万円以下なら特別控除が適用されます。

事業専従者は控除対象となることができません。

 

⑬扶養控除……所得税:38万円~・住民税:33万円~

控除対象扶養親族となるのは、

納税者と生計を一にしている合計所得金額が38万円以下の配偶者以外の親族(6親等内の血族、または3親等内の姻族)か、

都道府県知事から養育を委託された児童や市町村長から養護を委託された老人です。

事業専従者は控除対象となることができません。

扶養親族の年齢、同居の有無などによって控除額が変わります。

 

⑭基礎控除……所得税:38万円・住民税:33万円

要件がなく、全ての人に一律に認められる控除。

 

 

▼詳細は国税庁HPを参照

 

所得控除に分類されない控除

 

・青色申告特別控除

青色申告者のみが対象で、事業所得から最大65万円を特別控除できる。(10万円or65万円)

簡易簿記、現金式簡易簿記の場合10万円、複式簿記の場合65万円になります。

※確定申告の際の記入方法が上記控除とは異なり、控除分を引いた金額を「所得金額」の欄に記載します。

 

・事業専従者控除(白色申告者)……配偶者は86万円、他専従者は一人につき50万円

白色申告者と生計を一とし15歳以上でその年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していることが条件になります。

※事業専従者控除は、個人事業税にも適用できます。

 

 

注意

青色事業専従者(届出済み)は給与を経費に算入できるので、事業専従者控除の対象ではありません。

(青色・白色かかわらず)事業専従者は、配偶者控除や扶養控除の対象外となります。

 

 

▼詳細は国税庁HPを参照

 

税額控除

 

税額控除は所得控除の項目と比べるとあまりなじみのない項目が多く、特殊な事情に配慮された控除です。

 

事業の関係で配当所得がある・海外での納税をしているならチェックが必要です、身近な対象としては住宅関係の費用(購入ローンや改修費)が税額控除の対象になるところでしょう。

 

▼主な税額控除

・配当控除……国内法人からの剰余金や利益の配当・分配、投資信託の収益分配等の配当所得がある場合に受けられる控除

・投資税額等控除……(青色申告事業者の)試験研究費などに一定の割合を乗じた金額を控除するもの

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除……一定の要件を満たす住宅ローン等の年末残高の合計額を基に計算された額から一定期間控除されるもの

・政党等寄附金特別控除……政党又は政治資金団体に対して一定の寄附金を支払った場合にされる控除。(寄附金の額の合計額-2千円)×30%

・住宅耐震改修特別控除……自宅家屋に住宅耐震改修をした場合に受けられる控除

・住宅特定改修特別税額控除……バリアフリー・省エネ等一定要件を満たす改修工事を行った場合にに受けられる控除

・認定住宅新築等特別税額控除……認定長期優良住宅・認定低炭素住宅等の条件を満たす住宅を取得した場合に、かかり増し費用を基として計算した金額が控除されるもの

・外国税額控除……外国で生じた所得に所得税に相当する税金が課税されている場合、二重の課税とならないように調整される控除

 

 

▼詳細は国税庁HPを参照

 

その他(所得税以外の控除)

 

上記に紹介した控除の他に受けられる控除は、以下のようなものがあります。

 

ただこれらの控除は自治体が税額計算の際に自動的に適用したり源泉徴収済みだったりと、こちら自身でどうこうする類の控除でもなく触れる機会は明細で目にする程度だと思います。

 

ハシケン
なんとなくの意味だけ理解しておけば十分でしょう・・・

 

 

・調整控除(住民税)

住民税と所得税の人的控除の差額に起因する負担増を調整するための控除です。

住民税の算出に伴い自動的に適用され、住民税所得割額から税額控除されます。

 

・事業主控除(個人事業税)

個人事業主はその事業内容に応じて、地方税法で定められた「個人事業税」を納める義務があります。

ただし事業所得が年290万円以下の場合は支払う必要がありません。

この290万円分が個人事業税の基礎控除=事業主控除となります。

 

・退職金控除(退職所得の納税時)

退職に伴う退職金・その他一時金など退職所得への課税に対する控除です。

勤続年数20年以下……勤続年数×40万円(2年以下の場合は80万円)

勤続年数20年超……800万円+70万円×(勤続年数-20年)

が退職金控除額となります。

 

控除とのうまい付き合い方

控除 個人 付き合い方

 

事業において極力多くの項目を経費として計上して節税に励むのと同様に、控除をもれなく活用し課税所得が減額できれば結果大きな節税につなげられます。

 

ハシケン
あるいみ控除は、生活における「経費」といってもいいでしょう!

 

控除はその存在を知らないと正確に申告することさえできません、中身を理解し節税対策として活用できるようにしましょう。

 

▼控除を活用するポイント

・領収書類はしっかり保存し、申告の際に正確な算出ができるようにしておく

・申請・証明が必要なものは確実に行っておく(青色申告承認申請等)

・どの控除を適用した方がメリットがあるかを考える(事業専従者控除と配偶者控除の比較など)

・納税額を超える控除、控除対象限度額を超える支出は節税にはならない

 

まとめ

経費 節税 控除

 

控除は一見複雑ですが、自分自身に関係ありそうなところからチェックしていくと理解が早くなるかもしれません。

 

関係なさそうなところはスパッと無視するのも一つの手です。

 

ハシケン
わからないところは税理士などのプロにも確認して、しっかり活用していきましょう!

 

 

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