どうも、法人1期目のハシケン(@conteanime)です。
当サイトの記事は2019年内まで個人事業主として活動していた時期に書いていたものも多くあるので、著者の肩書き等の違いについてはあらかじめご了承下さい。

ということで今回は、個人事業主にとってのブランディングツールでもある「屋号」について詳しく解説していきます。
▼一般的な屋号と商号について知りたい場合はこちら
個人事業主にとっての「屋号」とはどういうもの?

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個人事業主にとっての屋号とは、ざっくり言ってしまうと「事業のために掲げる看板・顔」のようなものです。
屋号とは事業を行う上で店舗・事務所等に便宜上つける名称のことで、個人法人を問わず原則自由につけられていくつでも持てます。
法律上は屋号をつける義務はなく、あなたがなくて構わないなら無理して持つ必要はありません。
・・・と屋号はカンタンにつけられるぶん、他人にまねされた場合などに法律で守られていないのが現状です。
もしあなたの屋号を法の下で保護したい場合には、
① 屋号を「商号」として法務局に登記する……商号権をえる (使用権・専用権)
② 屋号を「商標」として特許庁に登録する……商標権をえる (独占権)
という手段をとることもできます。

・・・自分はしてませんが
ちなみに個人事業主が事業を法人化して会社を設立する際は、会社名=「商号」の登記は義務となります。
商号として法的に問題がなければ屋号にそのまま(「株式会社」などをつけて)登記することも可能です、また新しくつくって登記した商号のもとでこれまでの屋号を事業ごとに使い分けていくこともできます。
商号とは?
自由につけられる屋号と違って商号は法務局への登記が必要です、登記された商号が会社(社団法人)を法人格として扱う際の正式名称になります。
商号は登記することで法的な効力が発生し、会社の納税手続き・銀行口座の開設などは法人格名である商号で行います。
▼商号における主な制約・制限など
・会社設立の際に法務局に登記する義務がある
・アルファベット以外の外国文字、ローマ数字、@・!・?などの記号は使用できない
・「支店」「出張所」「事業部」など会社組織の一部を示す文字は使用できない
・名称の前後に「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」という種類に準じた文字をつける
・信用維持を確保すべき一定の業種(銀行等)は、その業種を特定できる文字を使用する
・同一住所で同一商号は登記できない
・本社は同じ法務局管轄内で一つしか商号として登記できない
・同一営業について同一営業所で複数の商号を持つことはできない
・同管轄内ですでに商標登録されている名称は使用できない
・変更・廃止には登記が必要である
・登記された商号は、「商号使用権」「商号専用権」を有する
「商号使用権」……自らの商号を他人から妨害されずに用いることができる権利
「商号専用権」……自らの商号と誤認されるおそれのある商号を他人が不正に用いることを排除する権利
個人事業主が屋号を持つことの意味とは?
屋号は必ずしもつける必要はなく法的拘束力があるものでもありません、もしあなたが本名で活動し自身をブランディングして事業を進めていくなら屋号を必要としない場合もあるでしょう。
セルフブランディングのやり方を知ってあなたの未来を切りひらけ!

第一は、屋号を活かしてその事業内容を前面にだすことができる点です。
看板のある店と個人表札しか出していない店ではどちらが店としてわかりやすいかは明らかでしょう、公私の区別がついて事業者(ビジネス)である点をアピールしやすく顧客や取引先からの信用を得やすくなります。
また、屋号をつけると「独立開業した」という自覚が増してあなた自身のモチベーションも変わってくるはずです。

個人事業主が屋号をつかうメリット
・店名、事務所名、インターネットサイト名など看板・名刺・印鑑として使える
屋号は、店名やサイトトップページなど外に向けて自身の事業名を掲げる名称として使うのが一番の役目です。
もちろん、『〇〇代表のハシケン(〇〇は屋号)』などとしてあなたの名刺やプロフィールの肩書きとしても使えます。
会社ではない個人事業主は法律上「社長」とは名乗れないので、「屋号」の「代表」という呼称が一般的です。
屋号で屋号印・角印をつくれば契約書や請求書のビジネス印として使え、個人の認印より事業としてハクがついた印象になります。
・事業内容を手短に紹介できる。セルフブランディングの一つになる
屋号がその事業内容をストレートに表現していれば、「何を売っているのか」「何ができるのか」の余分な説明が省けます。

事業を続けて実績をあげていくと社会的信用度も増していきますが、屋号の方がその度合は個人名で行うより格段に有利でしょう。
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・事業内容ごとに使い分けられる
屋号は複数の使用ができます 。
ただし開業届に記載する屋号は1つ限定となっていて、銀行口座を複数の屋号で持つことはむずかしいです。
いくつかの事業(商売)をかけもちしているときに表向きの屋号を使い分けるとお客さんの混乱を防げます、また実務面でも屋号ごとに経理を分けておけばそれぞれの事業の収支をわかりやすくできます。
・本名を前面に出さない、旧姓を使いたい
屋号を用いるとあなたの本名を表に出さずに事業を行えます、ペンネーム・芸名等と同じ役目と考えていいでしょう。
ちなみに芸名などは「雅号」といいます。
屋号で事業を行っておけば万が一SNSなどで炎上しても、事業主個人の名前へ直接及ぶ影響をおさえられることもあるかもしれません。
また屋号付き名義で口座を開設していれば屋号のみで振込みをしてもらえるようにでき、個人口座の氏名を公にせず振込み口座をサイトなどに掲載できます。
個人事業主やフリーランスの屋号付き銀行口座おすすめはここだ!【2022年最新版】
・契約書・請求書・領収書の信用度が増す
個人名でつくるよりも社会的信用度が高くみられる傾向があります、印鑑とあわせて使うとなお効果的でしょう。
もらう領収書も屋号を記入してもらうと公私がはっきりするので、経費処理の面でも楽になり税務署への信頼性も増します。

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屋号付き銀行口座がもてる
個人事業主ともなればビジネス用の口座をもつ必要もでてきます、事業用口座は屋号付の名義にしておけばなにかとメリットが生じます。
名義は「屋号+個人名」という形で表記され、顧客からの振込みが屋号のみでも可能になります。
あらかじめ開業届に屋号を記載しておけば、そのコピーが口座開設時の活動証明(屋号確認資料)としても使えます。
▼屋号付き口座のメリット
・本名を出さず口座の名義を公に掲載できる
・銀行の審査を経てる証しとして、信用度合いを高める効果が得られる
・個人名義の口座と区別し、事業用のお金の管理をわかりやすくする
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屋号のつけ方のポイントと注意点

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あなたのお気に入りのフレーズや思い入れのある言葉を入れるのも悪くありません、ですが屋号はあくまで事業のために用いるものであり個人事業主にとっては自身の看板です。
事業にマイナスだったり顧客に不評な名称は損にしかなりません、失敗しないためにも屋号をつけるポイントをしっかり押さえておきましょう。
屋号をつける際に意識すべきポイント
基本的には下のように屋号として使えない言葉がいくつか決まっている程度で、それ以外に法的なルールはありません。
▼屋号を用いる際の条件
・「○○会社」「○○Inc.」「◯◯Co Ltd」など、会社(法人)と誤認されるような屋号はつけられない
・「銀行」「信用金庫」「信用組合」などの法律で定められている特定業種の名称は使えない
・商標登録されている(ないし類似している)名称は避けたほうがよい (他人の商標権を侵害してはいけない)
自由度が高い分悩ましくあとから考えると失敗だった・・・なんてこともありえます、以下のポイントをおさえてあなたのビジネスに役立つ名称を考えましょう。
1、業種がわかるようにする
・業種や事業内容がイメージしやすく、印象に残りやすい屋号
・事業の強みが特長としてアピールできる屋号
2、ややこしい名称より覚えやすいほうがいい
・アルファベットや数字も使用可
・文字数の制限はないが、長すぎると正確に伝わりにくく、書面上のバランスも悪い
・聞きとりやすい、発音しやすい方がいい
3、他で使われていないか確認
・すでに商標登録されている屋号は、同一市内では使用できない
・事前に検索等でチェックし、ほかとかぶらないようにする
・独自ドメインの取得を考えているなら、それも可能か調べる
・SEO対策を意識して検索で埋もれないワードを使用する
4、その後何十年にもわたって使う可能性も考えておく
・時が経っても意味が通じる、色あせない言葉を用いる
・法人成りを見据えているなら、いずれは商号にする可能性も考えておく
(商号は諸条件が多いので、それも踏まえておかないといけません)
・法人化した際に過去の実績として説明しやすい屋号にする
屋号の公的な申請について知っておこう
屋号を用いることに関しては特に法的な制約はなく基本的には自己裁量です、自治体や税務署への申請や登録の義務もないので使い始める時期や使い方も自由です。
あえて「公的な登録は」といわれれば、開業届と確定申告書への記載があたるかもしれません。
現実的に開業届・確定申告書のどちらにも記載義務があるわけではなく、空欄でも構いません。
ただし、屋号付き口座開設時には屋号が記載された活動資料の提出が必要になります。
口座開設の前には、屋号が記載された開業届等(のコピー)を準備できているとタイミング的にいいでしょう。

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一度作った屋号の変更は可能?
実は屋号はいつでも何回でも変更可能です、商号(会社名)とは違って屋号の変更には法的な制約はありません。
ちなみに変更した際の税務署への手続きも不要です、せいぜい次回の確定申告のときに「屋号記入欄」に新しい屋号を記入すればいいでしょう。
住所移転をともなう屋号変更なら、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」に新しい屋号を記載できます。
屋号付銀行口座に関しては名称の大幅変更で事業に支障がありそうな場合は名義変更すべきでしょう、ただし変更に必要な書類は銀行によって異なるため事前に問合せをしてからの方が安心です。
・・・とはいえ変更が自由だからってコロコロ変えていたら、ムダに理由をかんぐられたりしてしまいますし信用面で何も得がありません。
名刺や看板・サイト名などの差し替えも面倒ですし、せっかくつみあげたあなたのブランディングを失う可能性も出てきます。
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まとめ

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かといってアイデアなしにとりあえず作っても意味はないので、あなたのブランディングに沿った内容が固まったら使いだすという感じでもいいいでしょう。

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